厚生労働省から、令和7年度に行われた長時間労働に関する監督指導の結果が公表されました。

今回監督を受けた29,150事業場のうち、11,228事業場、38.5%で違法な時間外労働が確認されています。

「うちの会社はそこまで残業していないから大丈夫」

と思う前に、自社の労働時間管理を一度確認してみましょう。

38.5%という数字の意味

まず注意したいのは、

全国の会社の38.5%で違法残業があった、という意味ではありません。

今回の監督対象は、

  • 月80時間を超える時間外・休日労働が疑われる事業場
  • 過労死等に関する労災請求があった事業場

など、もともと長時間労働が疑われていた事業場です。

その29,150事業場のうち、11,228事業場で違法な時間外労働が確認されました。

月80時間を超える事業場も約5,000

違法な時間外労働が確認された事業場のうち、最も長く働いた労働者について、時間外・休日労働が月80時間を超えていた事業場は4,991事業場でした。

さらに、月100時間を超えていた事業場も2,842事業場あります。

繁忙期になると、

「今月だけだから」

「本人が希望して残っているから」

と長時間労働が常態化してしまうことがありますが、本人の希望だけで法律上の上限を超えられるわけではありません。

違反だけでなく、改善指導を受けた事業場もあります

今回の監督では、違法な時間外労働のほかにも、法令違反として是正勧告を受けたものとして、

  • 賃金不払残業:1,901事業場
  • 過重労働による健康障害防止措置の未実施:5,919事業場

が確認されています。

一方で、法令違反とは別に、健康障害防止のための改善指導を受けた事業場もあります。

たとえば、

  • 過重労働による健康障害防止措置が不十分として指導:12,811事業場
  • 労働時間の把握が不適正として指導:4,045事業場

でした。

つまり、

「残業代を払っているから大丈夫」

「36協定を出しているから大丈夫」

とは限りません。

会社で確認したい3つのポイント

1.本当の労働時間を把握できているか

タイムカードの打刻時間だけではなく、

  • 打刻前の準備
  • 打刻後の片付け
  • 自宅への持ち帰り仕事
  • パソコンのログ

などから、実際の勤務時間とのズレがないか確認する必要があります。

2.36協定の範囲内か

36協定を届け出ていても、協定した上限を超えて残業させることはできません。

また、法律上の上限規制もあります。

3.健康確保まで考えているか

長時間労働は、単なる残業代の問題ではありません。

会社には、過重労働による健康障害を防止するための対応も求められます。

月末ではなく月の途中で確認を

給与計算の際に初めて、

「この社員、今月80時間残業していた」

と気付く会社もあります。

しかし、それでは対応が後手に回ります。

残業が増えやすい会社では、

月の途中で30時間、40時間、60時間などの基準を設け、早めに確認する仕組み

を作ることをおすすめします。

労働時間管理や36協定でお困りの場合はご相談ください

36協定の作成だけでなく、

  • 現在の勤怠管理方法に問題がないか
  • 残業時間の集計方法が正しいか
  • 長時間労働者への対応をどうすればよいか

といった労務管理全体のご相談にも対応しています。

いのしし社会保険労務士事務所までお気軽にお問い合わせください。

参考資料

厚生労働省
「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導結果を公表します」