在宅勤務者が自宅から直接出張する場合の労働時間の考え方は?

在宅勤務者が自宅から直接出張する場合の労働時間の考え方は?

近年、コロナ禍の中、出勤せず、在宅勤務する方が増えてきました。そうした中、在宅勤務している方が、直接自宅から出張する場合の労働時間の考え方についての質問が寄せられました。

自宅から出張等で別の就業場所に移動する場合

例えば、その在宅勤務者の自宅での労働時間が、8時30分から17時30分までの場合、この時間中は、自宅にいても勤務地扱いとなり、それ以外の時間については、勤務地ではなく自宅にいる、という考え方になります。

となると、自宅から出張等で別の就業場所に移動する場合、以下の2パターンが想定されます。

ア 8時30分以前に自宅を出る場合

この場合、自宅を出てから8時30分までの移動時間は、特に移動時間中に個別に業務を命じない限り、単なる移動時間とみなされ、労働時間とはみなされません。もちろん8時30分以降は労働時間となります。

イ 8時30分以降に自宅を出る場合

この場合の就業先への移動は、在宅勤務たる自宅(すなわち就業場所)からの移動となるため、移動時間も含め、労働時間とみなされます。

出張先から自宅に戻る場合

また、出張先から自宅に戻る場合、出張先での執務が17時30分前には終了する、という場合、次のパターンが想定されますね。

ア 自宅に戻った時間が17時30分より前の場合

この場合、17時30分までは、自宅は在宅勤務たる就業場所となっているため、17時30分までは就業時間とみなされます。

イ 自宅に戻った時間が17時30分より後の場合

この場合、移動時間中に個別に業務を命じたり、帰宅後、ただちに報告書の提出を求めるなど、特段に業務を命じない限り、出張先での勤務が終了してから17時30分までが労働時間とみなされ、在宅勤務たる就業場所ではなく、自宅に戻ったものとみなすのが適当です。また、労働基準法上の「事業場外のみなし労働時間」を適用する場合、自宅到着時までを通常の労働時間とした取り決めをしていた場合も同様に考えます。

したがって、出張先での業務が17時30分を超える、あるいは帰社(帰宅)後、特段の業務を命じる、などのことがなければ、時間外労働とみなす必要はない、と考えられます。