〒811-3113 古賀市千鳥6-3-10 TEL:092-980-5448 FAX:092-944-5689本文へジャンプ
 

採用の自由~三菱樹脂事件その1~
最高裁昭和48年12月12日大法廷判決。

【どんな話?】

 三菱樹脂に採用されたAさん。実は学生時代に学生運動をしたり、大学生協の役員をしていました。だけど、採用試験のときに試験官にそれを隠し、また身上書にもそうした内容を記載していませんでした。

 それを知った会社側は、3ヶ月の試用期間終了直前に、Aさんの本採用を拒否してしまいました。Aさんは、本採用拒否は不当だ!として裁判を起こしました。

【争点】

 論点は2つあって、ひとつは試用期間後の採用拒否が解雇に当たるかどうかですが、これは次回に説明します。

 今回の論点は、Aさんが学生時代に学生運動をしたり、大学生協役員をしていたということを理由に、採用を拒否できるのか、憲法で保障された「思想信条の自由」に反しないかということです。

 第一審は、試用期間後の採用拒否を解雇権の濫用として、Aさん勝訴。第二審は、Aさんの政治的思想、信条で採用しないということは、憲法第14条に違反し、公序良俗に反しているとして、これもAさん勝訴となりました。

【判決は?】

 最高裁大法廷はこの事件について、次のように判じました。憲法で定める平等や自由の考え方は、国や地方公共団体と個人の間で成り立つものであり、個人と企業の間では直接の関係はありません。

 その上で、あまりにもひどい差別があれば、国会で法律を作るなどして直接規制するか、あるいは民法などで個人と企業の間を調整することになります。

 憲法では「思想信条の自由」や「法の下の平等」を定めてはいますが、一方で「財産権」や「経済活動の自由」なども基本的人権として保障しています。

 企業がどのような人物を採用するかどうかは、法律に特別の決まりがない限り、企業が自由に決めていい、としました。

 したがって、企業が従業員を採用する際に、思想信条の調査を行うことも違法ということはできないし、Aさんが思想信条について会社に正直に言っていなかったことをもって、本採用を拒否することが法律に反しているとはいえません。

 として、こうした会社の行為が公序良俗に反していないかどうかをもう一度詳しく調べるため、裁判を第二審に差し戻しました。

 差戻審ではAさんと会社で和解が成立し、Aさんは職場復帰しました。

【いのしし社労士@霞雲の介の解説】

 この判例は昭和40年代の学生運動が盛んだったころに出されたもので、今の時代背景とはかなり異なっていることを認識しておくべきでしょう。

 実際、男女雇用機会均等法や障害者雇用促進法、雇用対策法などで、採用時に性別や障害、年齢などで差別を禁止する法律が出来てきています。

 またILO第111号条約(日本は未批准)でも採用時の差別は禁止されています。さらに厚生労働省が平成12年に出したガイドラインでも、思想信条は収集してはならない情報としています。

 昔ならいざしらず、現代日本においては、業務上明らかに都合が悪い(たとえば政党職員になるのに、その政党以外の支持者を採用することは考えにくい)場合を除いて、こうした採用差別を行い、それが明らかになってしまえば、法的にはともかく企業イメージを大きく損なうことは考慮しておく必要があると思います。

会社と従業員を幸せにする社会保険労務士は・・・
いのしし社会保険労務士事務所 
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー
中村 雅和にお任せください!
〒811-3113 福岡県古賀市千鳥6-3-10   
TEL 092-980-5448 FAX 092-944-5689

お問い合わせはこちらから
Copyright(C)2008 inoshishisyaroushi.All rights reserved
古賀市/宗像市/福津市/糟屋郡(新宮町久山町篠栗町粕屋町志免町須恵町宇美町)/メンタルヘルス/就業規則/公務員の人事評価/労働組合支援/
士業ねっと!/ 社会保険労務士.COM/imatch/社会保険労務士検索