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「労働契約と基本的人権~十勝女子商業事件~」
最高裁昭和27年2月22日第二小法廷判決。
【どんな話?】
和裁部主任教師として採用されたAさん。採用時に「政治活動をしない」という条件付でした。
ところがAさんは学校の数人の生徒に、某政党の「愛情の問題」という本の購入をすすめ、一人の女生徒が購入。これを知った学校側が条件違反としてA先生を解雇しました。
A先生は、(1)校内で政治活動をしないと約束していない。(2)本の販売は文化活動であって、政治活動ではない。として裁判を起こしました。
【争点】
職場で政治の話をする人はたくさんいます。ただ、Aさんは某政党の本を自分が勤める学校の生徒に売っちゃいました。
学校側からすれば「一部の思想信条を職場に持ち込まれても困る」という、職場の秩序維持の問題があるでしょう。
またAさんからしたら、別に本を1冊売っただけで政治活動をしたつもりはないし、仮にそれが政治活動の一環だとしても、労働契約で思想信条の自由を拘束するのは、やりすぎだという考え方なのでしょう。
【判決は?】
やっぱりAさんのしたことは政治活動です。職場で政治活動をしてはいけないという会社の決まりは、職場の秩序維持には、無理からぬところとして憲法や民法に違反していません。だから解雇は有効です。
【解説】
基本的人権というのは、国や行政機関が強制労働や思想信条を統制してきたことの反省から生まれたもので、普通は公人と私人との間に適用されるものです。
しかし、強い立場の会社と弱い立場の従業員の間では、そういう関係が生まれかねず、私人間でも憲法の人権規定を適用するかどうかが問われた裁判です。
学説はいろいろありますが、この判決で初めて「基本的人権も一定の関係の中では制約されることもやむを得ない」という判断が示されたという重要な判例として、いろいろな本に取り上げられています。
その後も労働契約と基本的人権に関してさまざまな判決が出されていますが、私人間の契約関係は尊重しつつ、人権の価値を実現するために、公序良俗違反などの民法規定を用いて、憲法の趣旨を生かす「間接適用説」が通説・判例となっているようです。 |
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